活動報告 report

「ユネスコ食文化創造都市」大分県臼杵市を訪ねました。

7月4日より令和6年度 会派「政友会」の行政視察として、大分県の南東部に位置する臼杵(うすき)市を訪ねました。豊後水道を望む人口3万6千人の城下町は、古くから漁業と醤油や味噌造りで栄えた歴史ある街で、伝統的な郷土料理が残る食文化都市です。ユネスコの提唱する「食文化創造都市」とは、「食文化の多様性を尊び、伝統的な料理や食材を守り、地域の食文化を振興すること」とあり、山形県鶴岡市に次ぎ臼杵市は日本で2例目として認定されました。

臼杵市の食文化を支える大きな柱は、400年もの歴史ある技術の「発酵」、江戸時代の財政難から生まれた「質素倹約」、環境に負荷を与えない「有機農業」の3がキーワードとなっています。

特に地産地消の「食育」にも大変力を入れています。農業は土づくりからとされ、近年では有機農業の振興に行政が積極的に係わりをもち、2010年に「土づくりセンター」を開設して不要な地域資源の草木と、豚糞を原料とした完熟堆肥「うすき夢堆肥」を生産して、循環型の有機農法を実践する農家の方々と市内の保育園や学校給食への食材供給を行っています。今後はこのユネスコの認定により市民意識の高まりを醸成して、他のユネスコ食文化創造都市との交流や、共同プロジェクトを通じて国際的な連携を促進して地域経済の牽引役となって行くことと思います。

食文化には、食材の選び方、献立、調理法といったことから、食器の選び方、また誰と、どのように食べるのか、作法・マナーなどに至るまで多くのことが含まれます。食事の回数、時間、普段の食事、暦の上で特別な日には何を食べるのかも大切な要素となります。現代社会の中で、それぞれの食文化は均一化の方向へ向かっている面もあり、ファーストフード店が世界各国に展開し、さらにはインスタント食品やスナック菓子などが溢れているのが現実です。一方では各家庭で親から子へと伝統的な家庭料理が伝授されつづけていたり、郷土料理の再評価や地元の食材を用いた「地産地消」、「スローフード運動」も起きています。

私たちは「誰と」、「何処で」、「どの様に」、「何を」食べるのか? 「食」という人として本来の持つ大切な意味を、もう一度しっかり考えていかなければならない思いました。

国宝の石仏見学、石畳の城下町散策、酒蔵巡り。今回は時間の関係で叶いませんでしたが、もう一度家族とゆっくり訪れたい街「臼杵市」でした。

太田正徳の広報誌
「わだ市議プレス」

  • 和田市議プレス2023年12月 Vol.1