活動報告 report

新市庁舎建設特別委員会の視察が行われました。

現市庁舎の老朽化が問題視され、その規模と在り方を議論し新市庁舎を建設するため、特別委員会の視察が10月17・18日の2日間に渡り行われ、それぞれ新築されたばかりの埼玉県春日部市と千葉県千葉市役所を訪ねました。

令和2年2月に開催の議員協議会で新庁舎建設基本計画が策定されましたが、建設地や規模・求められる具体的な機能と内容が二転三転し今なお見直しが進められている事態は、現在の庁舎老朽化及び狭隘化を見ると危機管理も含め誠に残念な状況にあると言わざるを得ません。現地での建替えには計画が順調に推移しても今後10年余の時間を要する訳であり、不透明な社会情勢や人口減少、想定される災害等を想うと早期の計画取りまとめと推進、実行が求められるのは言うまでもないことと思います。

・10月17日 埼玉県春日部市庁舎

カフェレストランを併設した新庁舎と広場

埼玉県春日部市は人口において本市とほぼ同じ23万人ですが、関東平野に位置したコンパクトな行政区でもあり本年1月に開庁した新市庁舎は、「人に優しく災害に強い 市民に親しまれる庁舎」をコンセプトにした集約型スタイルで設計されており、市民サービスの一層の充実が期待できるものと感じました。耐震構造であった旧市民病院の一部を第二庁舎としてリノベのうえ有効に活用をしており、市有地の回転により建設費の圧縮と工期も約2年と短期であり市民サービスの低下は無かったそうです。

◎災害に強い庁舎(免振・耐震・非常用発電)

◎環境・経済に配慮した庁舎(メンテナンスフリー外壁・ユニバーサルデザイン)

◎街に賑わいを創り出す庁舎(コミュニティホール・レストラン・まちなかひろば)

春日部市は本市の様に歴史的な建造物や自然に抱かれた観光地はありませんが、広く人々に愛されている漫画「クレヨンしんちゃん」、地下神殿とも呼ばれる「首都圏外郭放水路」、藤の花の名所として全国的に有名でもあり、首都圏のベットタウンとして今後の持続的な発展を強く感じました。

庁舎前の大型映像完備イベントスペース「まちなかひろば」

・10月18日 千葉県千葉市庁舎

モノレール駅から歩道で直結

人口100万人に迫る政令都市の千葉市は、東日本大震災の教訓から災害に強い新市庁舎建設が喫緊の課題でありました。増加する市民生活の安全安心を確保、地震・風水害等のあらゆる危機事案に対処するため、庁舎全体の免振をはじめ情報収集や発信の拠点としての設備、72時間稼働可能な非常用発電機など充実した危機管理センター等、充実した総合防災拠点が整備されていました。

災害時の拠点となる危機管理センター

庁舎全体が最新の免震構造に

さらに職員間のコミュニケーションの活性化を図り、より高い市民サービス提供のために執務室は業務のペーパーレス化・スペースの効率化・コスト削減・生産性向上といった新しい働き方を意識して、壁や背の高い什器で視線を遮らないオープンフロアを導 入しており、リフレッシュエリアやスタンディングコーナーと言った今までの役所では あまり見かけなかったゆとりのある「新しい働く場」が計画的に配置されていました。また海側のみなと公園と市街地や県庁を結ぶモノレール中間駅が新庁舎と直結しており、利用する市民にとって交通の便が大変良く、屋上庭園や壁面の緑化、造園中のさくら広場、イベントスペースなど人が集う仕掛けが随所に見られました。市議会の議場も傍聴しやすくより開かれた議会を実現しており、旧来の役所のイメージから離れた新しい「市民のための場」として、今回の大きな投資が活かされていくことと思いました。

・まとめ

春日部市、千葉市の新市庁舎を見学させていただき、本市の目指す庁舎も危機管理と市民サービスに重点を置いた、華美ではないものの市民が誇れるような施設でなければならないと強く感じました。現在地での建替えが原則ですが、昭和33年建設の本庁舎をはじめ、市民の窓口である東棟においても築後半世紀以上が経過しています。老朽化も目立ち、狭隘な執務室やトイレなど大地震等が声高に叫ばれる中、一市民として危機管理の観点からも一刻も早く着地点を見出し、建設の前進を強く願うものです。本市は広大で地区・支所が35か所もあり、集約型の庁舎も難しいと思いますが、バッ クオフィス機能の充実は当然としても、西庁舎敷地部分も含め国宝松本城と北アルプス に溶け込むような「市民に身近な市役所」として相応しい斬新な建物であって欲しいと 思います。また現在地では物理的に中途半端な庁舎が想定されるのであれば、民間の力を活用しながら新天地での複合的な施設の構想も検討すべきものと感ています。

太田正徳の広報誌
「わだ市議プレス」

  • 和田市議プレス2023年12月 Vol.1